女性に最も多くみられる乳がん。熊本大学は乳がんのホルモン療法による耐性化についての仕組みを解明。今後、新しい治療法の開発にもつながると期待されている。
(参照:ピンクリボンかながわ代表 土井卓子医師が説く「今の乳がんについて」)
Photo:Breast Cancer Awareness By ~Pawsitive~Candie_N
女性が乳がんになる確率は、14人に1人といわれているが、早期発見で完治も可能な疾患である。しかし、乳がん治療で、女性ホルモンのエストロゲンやその受容体の働きを阻害する薬を長期にわたり使用することにより、乳がん細胞が耐性をもって再発してしまう可能性がある。再発するとがんが周りの組織に広がってしまったり、リンパ節に転移してしまうこともある。
熊本大学は4月30日、共同研究により、このホルモン療法による乳がん細胞の耐性化の仕組みについて解明したと発表。4月29日付(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載された。研究では、ホルモン療法が効きにくい状態でESR1遺伝子の変化を調査。研究結果では、乳がん細胞が耐性化すると、エストロゲン受容体およびESR1メッセンジャーRNAの量が増加していることがわかった。また、核内のESR1遺伝子の近くに非コードRNAの大きな塊もできていた。今回の結果から、乳がん細胞は、長期にわたるホルモン療法で耐性化することが結論づけられ、新たな治療法の開発につながるとしている。