理化学研究所は21日、理研脳科学総合研究センターの発生神経生物研究チームらが無汗症の原因遺伝子を発見したと発表。これまで無汗症は汗腺や交感神経の異常などを原因とするものはわかっていたが、その他の原因については明らかになっていなかった。
(参照:東京医科歯科大学 母乳が子を生活習慣病から守るメカニズムを解明)

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無汗症患者は汗をかいて体温調節ができないため熱中症やめまい、意識障害、けいれんなどを起こすことがある。理研脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームの御子柴克彦チームリーダー、久恒智博研究員とスウェーデンのウプサラ大学は共同で研究を進めてきた。パキスタンで先天性無汗症を発症する家系を発見したことから始まったが、患者から汗腺や交感神経の異常が見られず家族にも症状が出ていないことから、原因遺伝子は常染色体劣性遺伝子であると推測。
近親婚家系のDNAを分析したところ「2型IP3受容体」の遺伝子のDNA配列に変異が見られた。これは細胞内のカルシウム濃度に関わり、細胞外の刺激に対してカルシウムイオンを放出するが、パキスタンで発見した先天性無汗症患者からはその機能が失われていたという。マウスの実験でも「2型IP3受容体」を欠損したマウスは汗の分泌量の低下が見られ、人にも同じく発汗に重要なはたらきがあるとしている。この発見は無汗症だけでなく多汗症で悩む患者の治療にも応用できるとして期待されている。