東京医科歯科大学の小川佳宏教授ら研究チームは、乳幼児期に母乳で育つと生活習慣病になりにくい可能性があるとしてその仕組みを解明した。
(参照:赤ちゃんにとって、粉ミルクと母乳どちらがいいの?)

Photo:ミルクガブ飲みだぜ By gnta
研究では、脂肪を燃焼させる遺伝子を活性化させる役割を持つタンパク質に着目した。このタンパク質がDNAのメチル化という現象を消失させ、その結果、脂肪を燃焼させる遺伝子が活性化された。これまで母乳にはこのたんぱく質を機能しやすくさせるはたらきがあるということはわかっていたが、遺伝子による仕組みは解明されていなかった。
母乳にはラクトフェリンという抗菌物質も入っており、病気にかかりにくい身体を作り、乳幼児突然死の割合もミルクのみの育児と比べても低い。しかし、出産前は98%の母親が母乳育児を希望するが、産後はそれに限界を感じ始めるのが50%となり、1ヶ月検診時には母乳育児を実践できているのは30%のみという。母乳による育児は必ずしもうまくいくものではなく、さまざまな事情によりミルクでの育児や母乳だけでは足りず混合育児を選択する人もいる。母乳とミルクどちらにもメリットはあるため、母子のペースにあった無理のない育児が一番だろう。