厚生労働省は、混合診療について拡大する方針であることを発表。平成28年度より実施する方向で、10日に開かれた政府の規制改革会議にて報告した。
(参照:健康保険料の用途 知っていたのは2割程度と認識の低さ浮き彫りに)
Photo:Stethoscope and piggy Bank By 401(K) 2013
日本の健康保険制度では、保険対象の治療なら自己負担は1〜3割程度で受けることができる。混合診療は、保険適用部分はこれまでと同じで適用外の分を自己負担で支払うというものである。日本ではまだ認められていない治療や薬も自己負担で受けることができる点は患者にとってもメリットとなるが、有効性や安全性、患者の負担が不当に増えたりすることも懸念されている。さらに、日本は国民皆保険で新しい医療も随時取り入れてきており、混合診療により医療の質の低下につながるという声もある。
新薬を開発し特許をとるまで多額の費用が必要とされるが、保険の適用されない自由診療の場合は治験を行なう必要もなく開発コストを抑えられ、価格も自由に決められるため製薬会社にとっては都合がいい。しかし、混合診療が解禁されると、薬の承認申請によって生じる追加利益が自由診療と比べて減ることが予想される。それによって、製薬会社の承認意欲の減退、ひいてはドラッグラグ・未承認薬問題につながるおそれがあるとも懸念されている。